自宅勤務+夏=堕落
6月に入りました。
イギリスの夏場、特に6-8月は一年で一番良い時期です。
気候的にと言うのもあるのですが、スポーツイベントが目白押しなんです。
フットボールはオフシーズンですが、そんなのを忘れる位様々なスポーツで盛り上がっています。
今年はと言うと。
現在開催中:
CricketのChampoions Trophy
日本ではクリケットを見る機会すらないでしょうし、一見さんが観ても”ちょっと何やってるか分からない”と言う印象を抱くかもしれません。
最近のクリケットは試合形式が3つに分かれており、
Test Cricket:これが本家大元。5日間のスケジュールでお互い2イニングの攻防で勝負を決めるフォーマット。気候や戦術が大きく影響し、総得点は1試合中1000点を超えるのが当たり前ですが引き分けの場合も多い。 ルールについて語りだすと丸一日分のブログになるので今日は割愛しますが、随分と優雅なスポーツです。
ODI(One Day International):現在イングランドで大きな大会が行われているフォーマット。各チーム50overs(1over=6球なので300球相当)の間に先攻チームが出来るだけ得点を重ね、後攻チームがそのターゲットを追うと言う展開。
得点の方法が分からないと???なのですが説明を始めるとスタジアムの設定から語らないといけないので興味ある方はググってください。
要は3本杭が中央に2つあって、その間を片道走るごとに1点、往復で2点、
円形フィールドの外側にロープが置いてあり、そこにバウンドしながらボールが転がると4点
ノーバウンドでロープを超えると6点
文字通りOne Day、一日で試合の勝敗が決します。それでも大体6時間くらいやってます。
Twenty20:一番短い試合フォーマット。各チーム20oversの攻防。攻撃できる球数が少ないので超攻撃的クリケットが観られる。
そして、現在ODIの世界8強が2グループに分かれての総当たり予選ラウンド中。
クリケットをプレーしてる国自体、他のメジャースポーツより少ないですが(英国元植民地や所謂コモンウェールズ諸国)、世界各地に散らばっているので、強豪が一つの地に集っての大会と言うのはとても盛り上がります。
試合のある日は文字通り観戦だけで丸一日費やせます。
Tennis
現在フランスでRoland Garros開催中。時差がほとんど無いので、昼前から試合放送がある。イギリス代表のマーレーも日本代表の錦織も両方勝ち進んでますね。
Golf:
主にUSPGAの方を観戦。再来週いよいよUS Open なので楽しみです。
Rugby Union;
現在UK+アイルランドの先発チーム、通称British and Irish Lionsがニュージーランドへの遠征中。 今年はイングランドチームのアルゼンチン遠征と重なるので、必ずしも最強メンバーではないですが、ニュージーランド戦と言うだけでテンションが上がります。
7月に入ると自国開催イベント目白押しで
Wimbkedon
The Open Gold
British Grand Prix
などなど。スポーツファンにはたまらんのです。
さて、イギリスは先進国の中で一番休みが少ないとよく耳にします。 祝日の数は確かに少ないです。(聖人を祝う休みの類がないので)
しかし、平日天気に良い日に外にでかけると、働き盛りのリーマン達がそこら中ふらふらしてるんですよ。 お前ら仕事どうしたんだ! っていう感じです。
祝日は少なくても日々の就業時間が少ないのでバランス取れてると思うんだけどな。
日本は祝日でないと、大手を振って休めないと聞きます。
有給は取れない。残業は当たり前。。。日本のリーマンの方がオフィスにいる時間圧倒的に多いですよ・・。
イギリスでは(特にホワイトカラーと言われている職種)の人たちは実にフレックスで朝9時厳守でなければ、仕事が終わり次第さっさと帰れます。 おまけにはある程度馴染めば自宅勤務も普通にとれます。
こう言った所が実に合理的なんですよね。
オフィスにいる=仕事 じゃないんですよ。
やることやっておけば誰も文句言わないし、後ろ指をさされることもない。
かくいう私も、現在の会社に勤め始めてから環境がとても良く、ミーティングやアポの無い日に観たいスポーツ等あれば迷わず自宅勤務にしちゃいます。
天気が良ければ軽くゴルフの1ラウンドとか。夏時間で日が長いのでこれから21時過ぎでも十分明るい日が続くのでこの環境と夏の季節と言うのは自堕落に陥りそうです。
英国テロと総選挙への影響は?
来たる6月8日に英国で総選挙が実施されます。
あれ? ついこの間騒いでなかったっけ?と思った貴方。
去年の6月23日に行われたのはBrexit(ブリクジット)の是非を問う国民投票。
早くも1年が経とうとしてるんですね。
逆に見るなら一年経たずにまた国を挙げた政治ショーをやってる訳ですし、この一年の間にあったアメリカ大統領選やフランス大統領選など世界のあちこちで国に方向性を決めるような出来事があったので世界の政治に於いては転換期だったかもしれません。
実は今回の総選挙は2015年5月に当時のキャメロン政権が大勝して保守党の長期政権を盤石にしたのだと思った矢先で本来5年任期なのを3年前倒しにしての総選挙。
2015年にキャメロン元総理が続投を選んだ時の総選挙は与党が議席を伸ばすと言う記録的勝利だったのが真新しい。
(記録を辿ると基本、政権が続投する際には議席を減らすか長期政権になる前に政権交代が起こるのが英国議会に於けるトレンドであった)
では、今回メイ首相は何故任期を3年も前倒しにしてまで電光石火の如く総選挙に踏み切ったのか?
表向きではBrexit交渉を有利に進める為です。
与党といえど当時EU脱退の是非で党内が真っ二つに割れていた。
離脱反対の旗印となっていたキャメロン元首相
離脱推進の筆頭格だったのも同じ与党のボリス氏
結果は、移民問題の火種が燻りつつ不満を抱えていた貧困層に耳を傾けていると言うアピールに成功したボリス一派&UKIP(イギリス独立党)の戦略勝ちで僅差ではあるが離脱への道を選んだ。
引責を取る形でキャメロン氏が辞職したが、後釜にと有力視されていたボリス氏が党首選挙に際に足を引っ張られる形となり撤退。 国民投票の際、明確な態度を示していなかったら重鎮のメイ氏が引き継ぐ形となった。(実はメイ氏本人もEU離脱を望んでいなかった)
これらの事から、今回の総選挙で与党保守党はbrexitの国民投票を受け入れ一枚となって交渉に臨むと言う決意表明をした形で行われる選挙。
謂わば、"ブリクジット解散"である。
(日本だと小泉元首相が行なった"郵政解散"みたいなもだと思う)
選挙の争点を単純かつ明確にしている。 この結果如何では再度国民投票を行おうと未だ叫んでいる外野を完全に黙殺することができるからだ。
もう一点は、メイ氏自信の信任を問うた選挙でもあると言う事。
話は変わりますが、英国では立て続けにテロ事件が起きています。
5月22日はマンチェスター。
そして先日6月3日にロンドン橋周辺での事件(3月22日の国会議事堂襲撃も記憶に新しいと思います)
実にここ3ヶ月の間に3件ものテロに関連した事件が起きています。
何も犯人グループは英国に移住した移民の二世三世です。
これら一連の事件が8日の総選挙にどのような影響を与えるか?
率直な意見としては"影響はほとんど無い"と見てます。
6月に入った時点で与党が過半数を取る勢いが続いていて、支持率の推移を見てもそれを後押ししています。 最も5月後半から最大野党の労働党が巻き返しを図ってるように見えますがいざ蓋を開けたら議席を減らすのは間違いないと思います。
実は英国の支持率調査はアテにならないので有名で去年の国民投票でも全ての出口調査で離脱反対が優勢と報道されていました。
理由の一つが、英国は各メディアがどの政党を応援しているかを明確にしている点です。
日本みたいに表明してないのに明らかな偏向報道をする位なら最初から明言しておけば済む話です。
これによりメディアによるプロパガンダが国民にもたらす影響が少なくなります。
そしてこれが一番の理由と個人的に思っているのですが、イギリス人は個々にしっかりとした政治への信念を持っています。
昨年の国民投票実施数日前に離脱反対側の議員が狂信的な愛国者に殺害される事件があり、海外メディアでは優勢を報じられていた離脱反対派に更に同情票が集まるのではという報道がありました。 しかし、結果はご存知の通り。
英国人は外野からの声に一々惑わされる事がありません。 自分で考えて良かれと思って行動する傾向が強いからです。
先程、"ブリクジット解散"と表現しましたが、無論移民問題を始めとした国内の問題にも言及しています。
本来このような大きな事件があった場合、フットワークの軽い小さな政党(第3政党的)が台頭するチャンスですが今回の総選挙においてはそれも無いでしょう。
UKIP(イギリス独立党)がこう言った時の受け皿として最有力候補だったのですが、Brexit決定後に党首交代から投票後の対応で"煽るだけ煽って何もしていない"と言うレッテルが貼られつつあり求心力の低下があります。
潜在的なukipに賛同する国民は相当数居るのですが、実際選挙となると似たような公約を掲げている大きな政党(この場合は与党)がいると妥協してほとんどがこちらに流れてしまうからです。
同時に、票が割れる事で移民政策に未だ寛容でいようとする最大野党の労働党に益になるのを避けようとする心理も働きます。
どの選挙区でも手堅い一定数の票は入るのですが、議席を取るまでに至らないのが現状です。
他の野党を見ると、Liberal Democrats (自由民主党)は党首が変わってから迷走ぶりが激しく党首はスピーチをする度に"国民投票をやり直すべき"と未だ高らかに叫んでいるので今回の総選挙でそれも収まることと思います。
SNP(スコットランド国民党)は寝ても覚めてもスコットランド独立を掲げている政党なので今回のbrexitにも反対しています。 ここはスコットランドの若年層や貧困層を主とした固定票があるので大きな変動はないでしょう。
英国は実に外交的に強かな国なので結果的にEU脱退は間違ってなかったと思える日が来ると私は思っていますが、やはり何よりも大事なのは国内の政治と懸念を安定させることだと思います。